「精度」「スピード」、これらがもたらす
その先にある付加価値
限りなく実物に近く、
伝えたい情報がリアルに表現された画像
全顎のケースを撮影したところ、とにかくスキャンが速いしスムーズでした。前機種「Omnicam」では、複数回カメラで歯列をなぞらないと画像が構築されなかったのですが、「Primescan」で撮影すると、画像が次々と構築されていくのがわかります。
ほかのスキャナーと比べると、「Primescan」の画像は、必要な口腔内情報が再現されており、同じ“きれい”でも、私たちが見たい所、伝えたい所がちゃんと“リアルに表現されているきれいさ”があります。とあるインプラントの症例で、その部分だけを撮影したところ、隣在歯のカリエスまできれいに写っていて、患者さん自ら「やっぱりここも直さなきゃいけないね」とおっしゃっていました。
限りなく実物に近くて、コントラストがはっきりしていて、見たい部分の色調がしっかり表現されている。だから、わかりやすいんですね。ちなみに、全顎のケースは学会で発表したのですが、会場にいた先生方からの反響がすごかったですね。
なぜデジタル化が必要なのか
インプラント症例における「Primescan」を活用したフローは、スキャンアバットメント『IOFLO』を撮って、DDSC-Tokyo(品川区大井にあるデジタル製品の製造所)へAWO(アトランティスウェブオーダー)を使用しアバットメントを注文。アバットメントの設計データである「コアファイル」を先に受け取って上部構造を事前に院内で作製し、アバットメントが納品され、患者さんにセットします。「コアファイル」は、非常に簡便ですね。自分でカスタムアバットメントのデザインをチェックできる点もそうです。出来上がった「コアファイル」を使ってCERECミリングでクラウンを自分で作れる、しかも自分で素材をチョイスできるという点もメリットだと思います。
デジタルを何のために使うかと言ったら、早くするために、時間を超越するためで、時間をかけてやるのなら、アナログで十分。患者さんは1日で終わってほしいと思っているわけだし、ドクターが凝って作るものだから良いというものではなくて、受け手がうれしいものを私たちは作らなければならない。形だけではなくて、そこに付加価値としてスピードがあると私は思っています。
スピードも然りですが、デジタル化によって、何種類もシリコン印象材を用意しておくとか、サイズ別にディスポーザブルのトレイを準備する必要がなくなります。模型の管理もそうです。スタッフの感染をはじめとした衛生的な心配もいらない。口腔内スキャナーの導入は、トータルして考えても、コスト的にも時間的にも十分満足できるものになると思います。シリコン印象に代わるデジタル印象、これを入り口にデジタル化をはじめるというのもありかもしれません。
包括的歯科治療へ
昨今、介護の問題であったり、あるいは、矯正の審美の話であったり、歯科医もある一つの断片だけに特化してできれば良いという時代ではなくなりつつあります。包括して一通り全部できなければならないということに対しては、デンツプライシロナのコンセプトでもある、デジタルトータルソリューションを提供するというコンセプトは、歯科治療においても、今後より求められていくのではないでしょうか。