アナログ印象 VS デジタル印象
口腔内スキャナーは、従来の印象採得にとってかわる「光学印象」を行う機器として広く普及しており、IOS (Intraoral Scanner)と略して呼ばれることもあります。
従来のアナログ印象採得の場合、印象内へ石膏を注入し硬化したあとにそれを撤去するため、気泡の混入や模型の破損などが確認された場合、再度印象採得を行わなければならなくなります。
それに比べてデジタル印象採得は印象材による気泡の混入や模型の破損などのテクニカルエラーが起こりづらくなります。発生したエラーも画面上で確認出来るため、速やかな修正が可能です。
また従来の印象材では、型取りのひずみ、石膏の膨張する性質から歯科医師や歯科技工士の熟練度などにより精度に影響が出るケースがありますが、光学印象にはそのような因子が少ないため、治療の質の均一化を図ることが可能になります。
ラボとのやりとりが簡単になる
石膏模型を送る必要がなくデジタル印象のデータを即座に歯科技工所へ送り、依頼することが出来るようになります。また各症例の確認作業も瞬時にやり取りが出来るため、適切な指示を技工所に送ることが出来ます。
また印象材や石膏などの材料費、技工所への郵送費等の経費削減、データをすべてデジタルで管理できるため模型の保管場所が不要、といったメリットもあります。
One Visit Treatmentとは
口腔内スキャナーとCAD/CAMシステムを導入した場合、自院完結での治療が可能になり、セラミックやジルコニア、ハイブリットレジン等の材料による修復物の製作が可能になります。
1本の修復物を製作するために要する時間は最短1~1.5時間で、One Visit Treatmentとは1回の来院で治療を完結させることです。1回で治療を完結させることで患者の負担軽減と再来院の手間を省き、脱離による不快感や象牙質などの汚染リスクも少なくなります。
治療の範囲が広がる
口腔内スキャナーは補綴修復だけでなくインプラントや歯科矯正といった分野にも活用することで、診療の幅を拡大することが出来ます。
またタッチスクリーンを使って可能な治療について話し合うこともできるため、患者との効果的なコミュニケーションを可能にし、治療法についてカウンセリングすることで、信頼性をもたらします。
スキャンした画像はもちろんですが、スキャンしている最中の画像を見せると、よりリアルな口腔内の状況を患者に知ってもらうことが出来ます。
患者の負担軽減に繋がる
光学印象では、印象材を盛ったトレーを口腔内に装着する際の不快感がなくなるため、患者が「型取りされている」という感覚を持ちづらくなります。
素早く快適な口腔内スキャン操作は、従来の印象採得に比べて、患者側の苦しさは大幅に軽減されます。
また、印象材の練和や硬化を待つ時間がないため、チェアタイムを大幅に削減できるようになります。